• CERAMIST

吉田直嗣
YOSHIDA NAOTSUGU

白と黒が彩る美しいかたち

白と黒の世界によって織り成される吉田直嗣のうつわ。
鉄分の多い陶土にオリジナルの鉄釉を施し生み出される深い黒、マットで滑らかな質感の白磁のうつわ。どちらも洗練されたかたちを際立たせている。さらに白磁に鉄釉薬をあしったバイカラーのシリーズは、吉田直嗣の白と黒の世界が融合した作品。配色のバランスからは彼の研ぎ澄まされた感性が伝わり、力強くも飄々とした、不思議な存在感を放つ。

近年は、白と黒の狭間、中間調のグレイへと表現の幅を広げている。
釉薬の溶け具合によって色合いに自然なゆらぎが生まれ、白と黒、どちらのうつわとも馴染む。

自身の感覚を頼りに美しさとは何か追求し、うつわというかたちで表現を続ける吉田の作品は、いずれも美しいかたちを有し、モノトーンの世界に広がりと確固たる個性を与えている。
時にはエッジを効かせ、時にはたおやかに膨み、食材を載せると、まるでキャンバスのように料理をひきたてる。
ものとしての美しさ、うつわとしての懐の深さが感じられる、使う人の感性に訴えるうつわである。

1976年静岡県生まれ。白磁作家・黒田泰蔵氏に師事。独立後は富士山の麓、自然の美しい場所に工房を構え、白磁と鉄釉による白と黒の器を作る。洗練されたかたちと深い色合い、ディテールにこだわった質感や凛とした美しさは、誰にも真似のできないオリジナリティに溢れている。