白と黒が彩る美しいかたち
白と黒の世界によって織り成される吉田直嗣のうつわ。鉄分の多い陶土にオリジナルの鉄釉を施し生み出される深い黒、マットで滑らかな質感の白磁のうつわ。どちらも洗練されたかたちを際立たせている。さらに白磁に鉄釉薬をあしったバイカラーのシリーズは、吉田直嗣の白と黒の世界が融合した作品。配色のバランスからは彼の研ぎ澄まされた感性が伝わり、力強くも飄々とした、不思議な存在感を放つ。
近年は、白と黒の狭間、中間調のグレイへと表現の幅を広げている。
釉薬の溶け具合によって色合いに自然なゆらぎが生まれ、白と黒、どちらのうつわとも馴染む。
自身の感覚を頼りに美しさとは何か追求し、うつわというかたちで表現を続ける吉田の作品は、いずれも美しいかたちを有し、モノトーンの世界に広がりと確固たる個性を与えている。
時にはエッジを効かせ、時にはたおやかに膨み、食材を載せると、まるでキャンバスのように料理をひきたてる。
ものとしての美しさ、うつわとしての懐の深さが感じられる、使う人の感性に訴えるうつわである。